節税のためにできるだけ多くの費用を経費にしたいところですが、なんでもかんでも経費にできるわけではありません。経費NGな項目もあるので、正しく節税するためには経費計上な可能な範囲を覚えておく必要があります。
そこで本記事では、個人事業主が経費にできない9個をまとめました。項目はいくつかありますが、個人事業主の経費計上に対する基本的な考えを理解しておけばすぐに覚えられるでしょう。
事業関連は経費にできるが個人的な出費は経費NG
基本的に事業に関する費用は経費にできます。しかし、個人的な出費は経費にすることはNGです。
節税しようと思ったら経費NGだった、ということにならないように経費対象と対象外の項目をしっかり理解しておかなければなりません。
法人とは経費にできる範囲が違ってきますので、個人事業主が経費に計上してOKな項目とNGな項目を覚えておきましょう。
個人事業主が経費にできないもの
個人事業主の給与
個人事業主が自分自身に支払う給与は経費にはできません。従業員への給与は経費になりますが、自分自身への給与は経費にするのはNGです。
個人事業主が事業用の口座から生活費を引き出した場合、「事業主貸」として処理します。事業主貸は経費の項目ではなく、事業主である自分からプライベートの自分からお金を貸したという考え方です。
市県民税・住民税
市県民税・住民税は個人事業主の個人の出費であるため経費にできません。
健康保険料も経費にできませんが所得控除の対象になります。ここを勘違いして市県民税・住民税も所得控除ができると思っている方も多いかもしれませんが、市県民税は所得控除も対象外です。
健康診断費用
健康保険料が所得控除の対象であるなら、健康診断費用は経費にできるのでは?と考えてしまいますが、残念ながら経費対象外です。健康診断や人間ドックの費用は経費にすることはできません。
生命保険料
法人の場合は社長の生命保険料を会社の経費として計上できますが、個人事業主の場合は経費として認められません。ただし、生命保険料控除の対象にはなります。
生命保険だけでなく、傷害保険や地震保険は経費に計上するのはNGです。所得控除の対象であればそちらで節税をしましょう。
マッサージ・整体費用
デスクワークなどで肩が凝ったからマッサージや整体に行ってほぐしてもらう。これは経費になるでしょうか?
いいえ、残念ながらこれも経費にはなりません。治療に関わることであれば医療費控除の対象になりますが、基本的に健康や予防に関する費用は控除対象外です。
スーツ・靴
仕事でスーツを着る必要性があるとしても、スーツは私生活での使用と区別がしにくいため経費にできません。靴も同様です。
ただし、作業服や作業靴など作業に必要な衣類や靴であれば経費として認められます。「スーツも仕事しか使わないのになぜ?」と思うかもしれませんが、スーツは経費として認められる可能性は低いため、経費に計上しない方がよいでしょう。
メガネ
では、デスクワークのために購入したメガネはどうでしょうか?残念ですがメガネも私生活で使用可能であるため、経費として認められません。
近視であっても老眼であっても、メガネは経費にはできないのです。仕事用とプライベート用を使い分けていても経費にするのは難しいでしょう。
罰金・反則金
業務中に車で交通違反をして罰金・反則金をとられた場合はどうでしょう?交通費は経費になりますが、罰金・反則金は経費にしてはいけません。
ただし、駐車違反でレッカー代がかかった場合は経費にできます。駐車場代も経費になるので、そこはしっかり区別して経費に計上できるものを理解しておいた方がよいでしょう。
出張時の観光費用
出張自体の費用は経費にできますが、それに伴う観光費用やお土産代は経費にできません。たとえば仕事で撮影のために観光地を回るというのであれば経費にできますが、個人的な趣味で観光する際は経費対象外です。
これは考えれば当然のことですが、出張の経費を分けるのは面倒くさいのでついつい観光費用やお土産代まで経費にしてしまいたくなりますが、きちんと経費と個人的な出費を分けておきましょう。
個人事業主は健康に関することを経費にできない
個人事業主は自分が働けなくなると収入が得られないため、言わば体が資本です。しかし、個人事業主は健康に関することを経費にできないため、整体やスポーツジムなど健康維持のための費用はすべて個人的な出費になります。
健康でなければ仕事に支障がでるのに、健康維持の費用を経費にできないのは納得がいかないかもしれませんが、税法で認められていない以上は経費にできません。
法人化すれば福利厚生費も会社の経費にできるため、その点は個人事業主と大きく異なります。法人成りするのに悩むところだとは思いますが、節税効果が高いのであれば法人化を検討した方がよいかもしれません。
おわりに
個人事業主は事業用とプライベート用の区別がつきにくく、スーツやメガネといった仕事に必要な出費も経費として認められない場合が多いです。「兼用できるからラッキー」と思っていたら経費NGだった、ということにならないように経費にできる費用とできない費用をしっかり覚えておきましょう。