合同会社という名称は知っていても、具体的に株式会社とどう違うのかわからない、という方は多いのではないでしょうか?確かに、合同会社は株式会社と比べて少ないですし、法人化と言えば株式会社というイメージが強いので、ご存知なくても仕方がありません。
本記事では、合同会社と株式会社の7つの違いを解説し、合同会社で法人化するメリットについてご紹介します。最後までお読みいただくと、合同会社の魅力が伝わると思います。
合同会社と株式会社の違い
合同会社
登録免許税:6万円
株式の公開:なし
決算公告義務:なし
役員の任期:なし
資本金出資者:出資者1名
最低役員数:出資者1名
意思決定:出資者総会
株式会社
登録免許税:15万円
株式の公開:任意
決算公告義務:あり(官報掲載費6万円)
役員の任期:株式譲渡制限の規定がある場合は10年(ない場合は2年)
資本金出資者:発起人(株主)
最低役員数:取締役1名
意思決定:株主総会
合同会社は設立費用と運営費用が安い
合同会社は、株式会社と比べると費用面にメリットがあります。上のリストを見比べていただくと、登録免許税額に大きな違いがあることがお分かりいただけるでしょう。
株式会社は設立時の登録免許税として15万円かかりますが、合同会社は6万円で済みます。創業初期の9万円の差はかなり大きいですね。
設立にかかる費用は、株式会社はトータルで約20万円、合同会社は約8万円となるので、総合的に比較しても合同会社のほうが安い費用で設立できます。
また、会社会社では毎年、必ず官報掲載費6万円が発生しますが、合同会社には決算公告義務がないため不要です。官報掲載費6万円は赤字でも支払わないといけないので、株式会社は運営コストとして計上する必要があります。
官報掲載費は、会社の情報を公開する官報公告に対する費用です。合同会社は決算公告が不要であるため、官報掲載費を払う必要がありません。
合同会社は設立費用で節約でき、さらに運営コストも節約できるため、低資金でも運営しやすいです。
合同会社も株式会社と同じ節税のメリットが受けられる
合同会社も株式会社も、節税面でのメリットに差はありません。合同会社でも法人の節税ができるため、個人事業主よりも経費として認めれる幅が広がります。
たとえば、法人は交際費に計上できる額が多く、経費として認められやすいため、取引先の接待や交際にかかった費用は、節税としてかなり有効です。もちろん交際費として支払った事実があることが前提ですが、個人事業主では交際費として認められないことも多いため、それは合同会社を立ち上げるひとつのメリットと言えるでしょう。
合同会社と株式会社の社会的信用度の違い
合同会社は安い費用で節約できるというメリットがある反面、株式会社と比べると社会的信用度が低いというデメリットがあります。
そもそも合同会社の制度ができたのは2006年のことです。新しい会社法がで合同会社ができるまでは、合名会社・合資会社・有限会社などがありました。
合同会社は会社法に沿ったれっきとした会社ですが、歴史が浅いため、社会的に浸透していないことから信用度が高くありません。今後、合同会社という名称が広く普及すれば社会的信用度も上がっていきますが、株式会社と比べると、どうしても信用度は下がってしまうでしょう。
合同会社からスタートするというやり方
合同会社と株式会社で税制面で差があれば迷うところですが、差がないのであれば、まずは合同会社を立ち上げ、収益が伸びてから株式会社に組織変更するのもひとつの方法です。もちろん合同会社のまま事業を続けても構いません。
個人事業主では節税できる範囲が限られますが、合同会社にすれば経費の範囲が広がるので、節税がしやすくなります。個人事業主の所得税は累進課税制度であるため、一定額の所得を超えたら法人化したほうがよいでしょう。
加えて、株式会社にするほどでもないというのであれば、合同会社が最適です。設立費用も運営コストも抑えられるので、費用を抑えて法人化したいのであれば、合同会社をおすすめします。
社会的信用度や知名度は株式会社の方が上ですが、そこにこだわらないのであれば、合同会社からスタートするというやり方も考えてみてはどうでしょう?
おわりに
合同会社で法人化するメリットは、コストの安さにあります。決算公告の手間のかからないので、株式会社よりも運営がしやすいと言えるでしょう。
法人化の選択肢は株式会社だけではありませんので、合同会社で法人化するパターンも計画として考えてみてください。