個人事業主や中小企業経営者向けの共済制度があることをご存じでしょうか?退職金や年金に関する制度や取引先が倒産した際に無担保で借り入れができる制度などがあります。
そこで本記事では、個人事業主が加入を検討した方がいい4個の制度をまとめました。メリットを感じる制度があれば加入を検討してみてはいかがでしょう。
個人事業主は収入リスクへの備えが必要
個人事業主は会社員のような退職金も厚生年金もありません。体調不良や取引先の倒産の影響で経営難に陥った時のことを考えると、非常に収入リスクの高い働き方であると言えます。
しかし、共済制度や保険制度を利用すればそのリスクを下げられるので、加入を検討した方がよいでしょう。言わば個人事業主は収入リスクへの備えが必要ということです。
毎月の掛金が少し負担になるかもしれませんが、これから紹介する制度は少額から積み立てできますし、必要経費に計上できるため節税対策にもなります。
個人事業主が加入を検討した方がいい4個の制度
小規模企業共済
出典:小規模企業共済
「小規模企業共済」は、小規模な会社の経営者や個人事業主のための退職金制度です。共済金は退職時だけでなく廃業時にも受け取れるので、万が一事業を続けていくのが困難になった時の備えになります。
毎月1,000~70,000円の間で任意の掛金を設定でき、500円単位で増額・減額が可能です。掛金は全額、確定申告時に課税対象所得から控除できるので節税にもなります。
個人事業主は退職金がないと諦めている方が多いと思いますが、「小規模企業共済」を利用すれば自分で退職金を用意しつつ節税対策もできるので一石二鳥です。もちろん毎月積み立てなければなりませんが、早いうちから積み立てれば将来受けられるメリットも大きくなります。
中小企業退職金共済(中退共)
出典:中小企業退職金共済
「中小企業退職金共済」は、中小企業者の従業員のための退職金制度です。中小企業者や個人事業主が毎月掛金を支払うことにより、従業員に退職金が支払われます。
先に紹介した「小規模企業共済」は個人事業主が自分のために積み立てる退職金制度ですが、「中小企業退職金共済」は従業員のために退職金を用意するのを支援してくれる制度です。
掛金は必要経費として計上できるため、節税効果もあります。なにより従業員の退職金を用意するのが難しい個人事業主にとっては非常に助かる制度です。
経営セーフティ共済(倒産防止共済)
出典:経営セーフティ共済
「経営セーフティ共済」は、取引先事業者の倒産などで中小企業や個人事業主が連鎖倒産するのを防ぐために設けられた制度です。無担保・無保証人で掛金の10倍(上限8,000万円)まで借入れ可能で、しかも取引先が倒産後すぐに借入れできるので非常に助かります。
掛金月額は5,000円~20万円までの間で任意で設定可能です。掛金は全額必要経費として計上できるので節税にもなります。
掛金を12か月以上納めている場合、自己都合の解約でも掛金総額の8割以上が戻りますし、40か月以上納めていれば掛金の全額が戻るので安心です。
取引先の倒産によって経営難に陥るのはどの事業者にも起こりうることなので、万が一に備えて共済に加入しておいた方がよいでしょう。
個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」
個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は、自分で積み立てていく年金制度です。公的年金とは別の制度で、別途積み立てることで将来受給できる年金額を増やします。
月額5,000円から積み立てでき、自営業の場合は月額6万8,000円まで積み立て可能です。自営業者に限らず、20歳以上60歳未満の方であれば誰でも加入できます。
積み立て金は所得控除の対象の対象となっているので節税対策の面でもメリットありです。公的年金等控除と退職所得控除の対象にもなっているので、受給時の節税対策にもなります。
状況に応じて必要な制度を利用しよう
ここで紹介した制度はなにも全て加入する必要はありません。従業員を雇用していないならば「中小企業退職金共済」は不要ですし、年金以外に将来の蓄えを積み立てているならば「個人型確定拠出年金」は不要でしょう。
大事なのは状況に応じて必要な制度を利用することです。無理して高い掛金を積み立てるのではなく、取捨選択して自分にメリットのある制度だけを利用することを考えましょう。
おわりに
加入を検討しようと感じた制度はあったでしょうか?共済金の受給額は積立期間によって変わるので、加入するなら早めの方がよいでしょう。最初は少額から積み立てていき、収入に応じて掛金を増やしていくのがよいかと思います。