定年退職後は仕事をやめてゆっくり過ごすのか、それとも継続雇用や再雇用で続けて働くのか。開業・起業という選択肢もあるので、どれをとるかは非常に悩むところですよね。
本記事では、継続雇用、再雇用、開業・起業それぞれの働き方について解説します。開業・起業には準備が必要ですので、定年間近になって考えるのではなく早めに考えておきましょう。
定年退職後も働きたい人が増加
老後収入への不安や健康のために定年退職後も働きたい人が増加しています。年金受給額が減少し、マイナス金利の影響で預金の利息が減少するなど、老後の家計が厳しくなっているのが定年後の雇用を望む方が増加している大きな理由です。
60歳と65歳では、60歳で定年としている会社の割合が多くなっています。60歳で定年を迎えるものの、60歳以降も働き続けたいと希望する人が増えているのが現状です。
年金の受給開始は基本的には65歳ですが、繰り上げ受給を希望すれば65歳より前に年金を受給できますが、減額が一生涯続くためあまりおすすめはしません。しかし、60歳で定年すると65歳に年金の受給が開始するまでの間は貯金を崩して生活費をやりくりしなければなりません。
夫婦二人の生活費、さらに住宅ローンが残っていると5年を収入なしで過ごすというのは大きな不安があることでしょう。退職金の額も減っている時代ですので、退職金もあまり充てにできません。
そうした経済的な事情を考えると、延長雇用や再雇用で老後の資金を少しでも増やしたいと考える人が増えているのはよく分かります。
定年後の選択肢
継続雇用
高年齢者雇用安定法により、本人が希望すれば継続雇用が可能になります。企業には65歳までの継続雇用が義務付けられているため、60歳を定年としている企業でも希望することで継続して雇用してもらえるのです。
継続雇用を採用していない企業は定年を65歳まで引き上げるか定年制度を廃止するかを選択しなければいけないため、いずれにしても65歳まで働くことができます。
継続雇用は雇用を延長する制度であるため、基本的には勤務形態や賃金は変わりません。企業側からすれば継続雇用は新規雇用を抑制しかねないですし、賃金が変わらないというデメリットがありますが、就労者にとってはあまりデメリットはないと言えるでしょう。
再雇用
再雇用は、継続雇用制度のひとつです。定年退職後に契約を結び直すことにより、定年後も同じ会社で働き続けることができます。
継続雇用の場合は雇用を延長するため再契約は必要ありませんが、再雇用では一旦退職をして再契約をしなければなりせん。65歳までの継続雇用制度の導入している会社であれば、60歳で定年退職しても再雇用を希望すれば65歳まで働くことができます。
再雇用と継続雇用は、再契約をするか否かというのが大きな違いです。継続雇用は定年前の賃金と変わりませんが、再雇用は賃金が引き下げられることが多いため、同じ制度内の雇用でも賃金に差が生じます。
再雇用の条件は契約時の会社との交渉によりますが、多くの場合は賃金が減少すると考えておいたほうがよいでしょう。賃金が減っても勤務時間が減るならよしとするか、定年前と同じ賃金を求めるから再雇用を選択するか継続雇用を選択するかが変わってきます。
勤務時間を減らして定年前より時間にゆとりをもって働きたい方は再雇用が向いているでしょう。賃金を減らさないように働き続けたい方は継続雇用が向いています。
開業・起業
定年後に開業・起業するという選択肢も考えてみましょう。60歳で定年するか65歳で定年するかは大きな違いがありますが、いずれにしも定年後に開業・起業される方も多くいらっしゃいます。
たとえば60歳で定年する場合、体力的にまだ余裕があるので65歳定年と比べると開業しやすいでしょう。自分の経験を活かして開業する、またはフランチャイズに加盟して未経験の業種にチャレンジするという選択肢もあります。
フランチャイズで開業する場合、これまでやってみたいけれどできなかったこと、昔からやってみたかった仕事に挑戦するのも定年後のひとつの働き方です。フランチャイズに加盟すればノウハウを提供してくれるので未経験の業種でも開業はできますし、経営のアドバイスをしてくれるので経営未経験でも心配ありません。
再雇用を選択した場合、副業として事業を営むという方法もあります。副業が可能かは会社によりますが、可能であれば副業を考えてみてもよいかもしれません。
副業であれば会社から安定して給与をもらいつつ、事業にチャレンジできます。勤務時間を減らしてもらえば副業にかける時間を作れるでしょう。副業がうまくいけば65歳の定年後から専念すればいいわけですし、もしうまくいかなければ別の事業に切り替える、または開業にチャレンジした自分を納得させられると考えることもできます。
どんどん長寿化していますので、60歳で定年を迎えて後の働き方もよく考えなければなりません。もちろん定年後に働かないという選択肢をとられる方も多いですが、働けるうちは働きたいと考えている方は増えています。
おわりに
再雇用と継続雇用では賃金に差が生じることが多いため、定年後も働き続けることを希望する場合はその点に注意していただければと思います。開業・起業をするという選択肢もありますので、3つを比較してどれを選ぶのがご自分にとって最も納得のいく働き方なのかをよく考えてみてください。
