顧客は企業にもお店にも何らかのイメージを持っているものです。そのイメージを利益につなげる手法がブランディングで、企業やお店が成長するためには欠かせません。
本記事では、ブランディング効果を高めるための4つのポイントを解説します。ブランディングで何をすればいいのか分からない方は、ぜひ参考にしてください。
ブランディングとは?
ブランディングを一言で表すと、「ユーザー(顧客)に共通のイメージを持ってもらうこと」です。ブランドに対するイメージ付けを戦略的に行い、ブランド自体に価値を持たせるのがブランディングの役割となります。
たとえば、Apple社の製品のブランドイメージのひとつは「デザイン」です。iPhoneの革新的なデザインに見られるように、Apple社はプロダクトのデザインに強いこだわりがあります。
「Appleの製品」=「デザイン性が高い」というイメージをお持ちの方は多いことかと思いますが、これもApple社のブランド戦略の成果なのです。こう表現すると作られたイメージと捉えられてしまうかもしれませんが、Apple社のデザインにはユーザーを惹き付ける魅力があるからこそできることで、それがブランディングの真髄と言えます。
ブランディング効果を高めるためのポイント
1:常にブランド・ロイヤルティを高める努力をする
ブランドに対する愛着は、マーケティング用語では「ブランド・ロイヤルティ」と表現します。ロイヤルティはブランドに対してユーザーが抱く忠誠心のことです。
ブランディングは、ユーザーにいかにして企業や製品に愛着を持ってもらえるかが肝になります。愛着を持ってもらえればブランドは強くなり、他社との差別化に成功することで利益も増えていくことでしょう。
ブランド・ロイヤルティが高いユーザーは同じブランドの製品を購入する可能性が高く、価格よりもブランドに対する愛着で購入を判断する傾向があります。
しかし、現状でブランド・ロイヤルティが高いからといって安心してはいけません。ユーザーに長く愛されるブランドになるには、製品の品質や利便性向上、新しい技術の導入など常にブランド・ロイヤルティを高める努力をする必要があります。
フランチャイズには加盟店が本部に支払う対価を表す「ロイヤリティ(royalty)」という言葉がありますが、「ロイヤルティ(loyalty)」とは別の言葉です。一文字違いでややこしいですが、カタカナ表記では「リ」と「ル」で区別しています。
「ロイヤリティ(royalty)」は「知的財産権への対価」、「ロイヤルティ(loyalty)」は「ブランドへの愛着心」とおぼえてください。
「ロイヤリティ」と「ロイヤルティ」の違いの解説はこちらの記事が分かりやすいです。
ロイヤリティとロイヤルティの違いは?意味が全く違う2つの言葉を徹底解説https://www.fc-mado.com/useful/loyalty-royalty/
2:ターゲット層の設定が重要
ブランディング戦略ではターゲット層の設定が必須となります。全てのターゲットに支持されるブランドを目指すのではなく、特定の層に愛されるブランドになることが重要です。
コーヒーチェーン店を例にすると、スターバックスとドトールではターゲット層が異なります。スターバックスは若い層をターゲットとしていますが、ドトールはビジネスマンをターゲットとしているため、それぞれ客層が異なるのです。
スターバックスはゆっくり過ごしてもらうためのお店づくり、品質の高い商品の提供、質の高い接客でファンを獲得してきました。コーヒーの価格はドトールより高めに設定されていますが、品質を高くしお店の高級感を演出することで客単価を上げています。
対してドトールは誰でも入りやすい外観にすることでお客さんを呼び込み、喫煙室を設けることでビジネスマンを呼び込むのが戦略です。コーヒーは低価格ですが回転率を高めることで利益を上げています。
このように、ターゲット層が異なることでブランディングの戦略が異なってくるため、まずターゲットを明確にすることが大切なのです。
3:自社の強みを最大限に活かす
ブランディングはときに時代と逆行する戦略を取らざるを得ないことがあります。薄利多売の時代だからといって厚利少売の戦略が通用しないわけではなく、ブランディング次第では少ないシェアでも十分にビジネスとして成立可能です。
いわゆるマニアと呼ばれる人たちに熱烈に支持されるブランドは、市場全体の数%のシェアしか得られなくとも非常に大きな武器を持っていると言えます。カーマニアならこのブランド、オーディオマニアならこのブランドというように、コアなユーザー向けにブランディングを展開するのもひとつの戦略です。
自社の強みがマニアにしか支持されないものであっても、そこからブランドイメージを築いていけば自社にとっての武器になるでしょう。無理に大衆受けする製品を開発するより、コアなユーザー向けの製品でファンを獲得してブランドを育てていくのもブランディング戦略です。
4:ブランドに合った広告戦略を展開する
ブランディングにおいて広告は非常に重要な役割を担います。ただし、ブランディング広告では長期的にイメージを固定化していくことが目的ですので、やみくもに宣伝をすればいいというわけではありません。
ブランディング広告で成果を得るには、ブランドに合った広告戦略を展開することが重要です。インターネット広告が発達してテレビや新聞、雑誌といった媒体以外にも宣伝する場所が増えたため、ブランドに合わせた広告戦略が立てやすい時代になっています。
インターネット広告はターゲットを絞った宣伝が可能であるため、そういった面でもブランディングと相性がいいと言えるでしょう。大衆向けに広く宣伝するには多額の費用がかかりますが、ターゲットを絞った広告であれば費用を抑えつつ効果的な宣伝ができます。
ブランディングを行うのであれば、インターネット広告も学んでおくとよいでしょう。
ブランドイメージは積み重ねによって生まれる
ブランドイメージは一朝一夕で得られるものではありません。製品開発やサービス改善、日々の企業活動などから積み重なって生まれるものです。
ブランディングで大事なのは信頼の積み重ねで、ユーザーにとって価値のある製品やサービスを提供していれば自然とファンは増えていくことでしょう。ブランドイメージが固まれば製品を展開しやすいですし、固定客もつくので安定して利益を得やすいです。
逆にファンが増えないのはユーザーに価値を提供できていないことが原因かもしれません。その場合は自社の魅力は何かを分析し、ブランディング戦略を立て直す必要があるでしょう。
おわりに
ブランディングはフランチャイズにも大きく関わっています。フランチャイズチェーン店が集客に有利であるのは、本部がこれまでブランド力を高めてきた結果です。
フランチャイズに加盟する際は、本部のブランディング戦略やブランド力についてもリサーチしておきましょう。