起業家、企業家、事業家、実業家、個人事業主の違いはご存知でしょうか? なんとなくは理解していても、いざ説明を求められると困ってしまいますよね。
そこで本記事では、これ5つの言葉の違いを分かりやすく解説します。これから起業や開業される方はこの機会に覚えてみてはいかがでしょう?
事業者を表す言葉は複数あって分かりにくい
起業家、企業家、事業家、実業家、個人事業主など、事業経営者を表す言葉は複数あります。言葉の雰囲気だけみればどれも同じように感じますが、それぞれ違う意味を持った言葉です。
自分で事業を営むのであれば、自分はどれに該当するのかを知っておいたほうがよいでしょう。意味に違いを知っておけば、他の事業者と会話する時に恥をかかずに済みます。
知らなくても大きく困ることはないですが、知っておいて損はありません。起業を考えているのならそれぞれの言葉の意味を覚えておきましょう。
起業家、企業家、事業家、実業家、個人事業主の違い
起業家
起業は、事業を起こすことです。起業家の意味はその言葉の通り「自ら事業を行う人」を指します。
英語では「アントレプレナー(entrepreneur)」と表現し、狭義ではベンチャー企業を起こす人を指して使われることも多い言葉です。
ベンチャー企業はこれまでにない新しい製品やサービスを生み出す企業を指しますが、起業家は個人事業主も含まれるため必ずしも会社を立ち上げている必要はありません。新しく事業を始めたのであれば起業家と呼んで差し支えないでしょう。
ただし、元からある事業を引き継いだ場合は起業家とは呼ばないので注意してください。
企業家
起業家と同じ読みの起業家という言葉があります。企業家の定義は、企業を起こす人、または企業の経営に取り組む人です。
企業家は企業を立ち上げることが前提の言葉ですので、個人事業主は含まれません。起業家との大きな違いはそこです。
起業家は必ずしも企業を起こす必要はありませんが、企業家を名乗るのであれば企業を立ち上げる必要があります。経営者でない企業家もいますが、企業のアイデアを出したり企業の発展に力を注いだりする人も企業家と呼ばれます。
事業家
事業家は定義が明確化されていないので分かりにくいですが、大雑把に言うと「事業を行う人」を指します。新しい製品やサービスを生み出す起業家と異なり、既存の技術を組み合わせて事業を展開したり拡大したりするのが事業家です。
また、起業家は一から事業を立ち上げることが前提ですが、事業家は企業の買収や合併も事業を拡大するひとつの手段として用います。事業の引き継ぎも行うこともあるので、その点は起業家とは違うと理解しておきましょう。
実業家
実業家の定義は明確で、生産や経済に関する事業を営む人のことです。「実業」という言葉自体が農業・水産業・工業・商業といった生産や経済を指すため、実業家はそれに準ずる言葉となります。
実業家の対義語は虚業家です。虚業というのは投機などの堅実でない事業を営む人を指します。
虚業も含めて実業家と呼ばれることもありますが、正確には異なる意味を持つため、実業と虚業の違いは正しく理解しておきましょう。
個人事業主
個人事業主は、法人化せずに個人で事業を営んでいる人を指します。税務署に「開業届」を提出している人はもれなく個人事業主です。
起業家の項目で説明した通り、起業家は個人事業主である場合もあります。起業家は法人化している方が多いので、起業家=会社を起こしているというイメージが強いかもしれませんね。
フリーランスという呼び方もありますが、フリーランスは働き方の呼び方のひとつで、厳密には個人事業主です。
「開業届」の詳しい書き方は以下の記事で解説しています。
開業届と青色申告承認申請書の書き方を画像付きで解説!個人事業主の開業は難しくない
自分がなりたいのはどの事業者なのか
起業家と企業家では同じ読みでも起業の意味が異なりますし、事業家もまた異なる意味で使われます。実業家は定義が明確なので分かりやすいですね。
言葉の意味の違いを理解することも必要ですが、大事なのは自分がなりたいのはどの事業者なのかということです。新しい製品やサービスを生み出したいのであれば起業家になりますし、既存の技術を活用して起業するのであれば事業家が最適な表現となるでしょう。
おわりに
起業家、企業家、事業家、実業家、個人事業主の違いはお分かりいただけたでしょう? 混同して使われることもありますが、それぞれ言葉があるということは意味も違うということです。
言葉の違いを知っていれば自分が何を目指すのかがはっきりするので、そういった意味でもそれぞれの意味を理解しておいたほうがよいでしょう。