介護保険タクシーと介護タクシーの違いはご存知でしょうか？ 似た名称ではありますが、それぞれ異なる車両であるため一緒というわけではありません。
本記事では介護保険タクシーと介護タクシーの違いを介護保険やサービス内容をふまえて解説します。
介護保険タクシー / 介護タクシーとは？
介護保険タクシーまたは介護タクシーは、一人での外出が困難な高齢者や障害者の方の通院や外出をサポートする車両です。
介護タクシー以外に介護保険タクシーという呼び名がありますが、これらは同じというわけではありません。いずれも高齢者や障害者をサポートする車両であり、介護保険法の要介護認定1～5の方・要支援認定を受けている方を対象とした車両ですが、介護保険の適用、行き先や目的、利用方法に違いがあります。
介護保険が適用されるのは介護保険タクシーのほうです。介護タクシーは介護保険が適用されません。
『介護タクシー』
【介護保険の適用】
介護保険は適用されない
【行き先や目的】
制限なし
【利用方法】
電話かメールで予約
『介護保険タクシー』
【介護保険の適用】
介護保険が適用される
【行き先や目的】
病院や診療所の通院、公的機関へのアクセス、通所介護や介護保険施設等の見学、選挙の投票
【利用方法】
ケアマネージャーを通して介護保険タクシー会社に依頼する
介護保険タクシーのサービス内容と費用
介護保険が適用される介護保険タクシーは、介護関連の資格を持つ運転手がサポートを行います。目的地への移動だけでなく、タクシーへの乗降介助、車を降りてから目的地内への移動もサポートの一貫です。
また、必要に応じて着替えやおむつの交換も行います。このように介護関連の資格を持った運転手または乗務員が移動や介護のサポートを行うのが通常のタクシーとの大きな違いです。
上述したように介護保険タクシーの利用方法はケアマネージャーを通して介護保険タクシー会社に依頼するのが基本となりますが、利用開始前にはケアマネージャーと相談して、介護保険タクシーの利用をケアプランに盛り込む必要があります。
介護タクシーはそのような手続きは必要ないため、介護保険タクシーと比べて利用はしやすいですが、介護保険の適用外となるのでその違いには注意してください。
介護保険タクシーは介護保険が適用されますが、運賃は保険適用外となります。移動時に発生する介護サービスは介護保険が適用されるため、介護タクシーよりも利用料金は安くなるでしょう。
介護タクシーのサービス内容と費用
介護タクシーも介護保険の資格を持った運転手または乗務員が移乗や乗降のサポートを行います。要介護1以上であり、公共交通機関を一人で利用するのが困難な方、自分で車を運転するのが困難な方が対象となっているため、いずれも独力で可能な方は利用ができません。
介護タクシーは要介護者だけでなく、骨折や腰痛などで一時的に歩行や移動が困難な方も利用できます。電話かメールで予約すればいいだけなので、利用方法は介護保険タクシーと比べて簡単です。
介護保険タクシーの行き先・目的は通院や公的機関等へのアクセスに限定されていますが、介護タクシーに行き先の制限はありません。外食や買い物で利用したり、旅行や帰郷目的などでも利用できます。
運賃自体は一般的なタクシーよりも安い場合が多いですが、介助料金や機材使用料金がプラスされるのでその点も料金として考えておきましょう。
介護保険タクシー / 介護タクシーの需要
後期高齢化に伴い、介護保険タクシーと介護タクシーの需要は今後伸びていくと考えられます。自宅介護が増えればますます介護保険タクシーの必要性は高まっていくことでしょう。
介護保険タクシーや介護タクシーが必要とされるのは、介護関連の有資格者に移動の補助をしてもらえる点です。介護保険タクシーと介護タクシーで利用できる行き先や目的は異なりますが、乗降の介護補助をしてもらえるので安心して利用できます。
福祉タクシーという介護タクシーに似た車両がありますが、こちらは障害者のみが対象となっていて、高齢者は利用できません。運転手は介護職員初任者研修を受けている、または介護福祉士の資格を有しているため乗降介助が可能です。
介護タクシーも福祉タクシーも介護保険の適用外ですが、一般的なタクシーの運転手では介護や乗車補助目的とはいえ乗客の身体に触れることができないため、そうした車両が必要とされています。
介護保険タクシーと介護タクシーは名称が似ていますが、介護保険の適用の有無や利用の範囲に違いがあるため、明確に区別して考えておくべきです。
おわりに
介護保険タクシーと介護タクシー、福祉タクシーを混同されている方が多いと思いますが、それぞれ目的や利用の仕方が違うため違いをきちんと理解しておきましょう。介護関連のサービスは今後ますます需要が高まっていくことが予想されますので、介護事業の展開を考えておられる方は介護保険タクシーや介護タクシーも選択肢に入れてみてはいかがでしょう。
