源泉徴収の仕組みはなんとなく分かっているつもりでも、説明を求められたら戸惑ってしまいますよね。源泉徴収は社会人の常識とも言えるので、今さら聞けない方も多いことでしょう。
そこで本記事では、源泉徴収の仕組みをわかりやすく解説します!今さら過ぎて聞けない人はこっそりご覧ください。
源泉徴収とは?
源泉徴収は、給与や報酬の支払う者が所得税を差し引いて代わりに納税する制度です。
確定申告は毎月2中旬から3月中旬にかけて行いますが、国民全員がその時期に申告を行うとなると税務署は対応しきれませんし、国にとってはそれ以外の期間での財源の確保が難しくなります。そこで源泉徴収という制度を作り、会社などの給与や報酬を支払う者が個人に代わって毎月代わりに所得税を収めることにより、この問題を解決しているのです。
源泉徴収と似たような制度に「特別徴収」というものがあります。これは住民税や社会保険料を収めるための制度で、基本的な仕組みは源泉徴収と同じです。
会社員の源泉徴収
会社員の場合、毎月の給与から所得税と特別徴収を天引きされた額が実際の給与として振り込まれます。源泉徴収で天引きされる前の額が「額面」、天引きされた後の額が「手取り」です。
会社員は、会社が毎月の給与から源泉徴収と特別徴収を天引きして代わりに納税しているため確定進行をする必要はありません。生命保険などの控除は会社に書類を提出して「年末調整」を行うことにより、還付金を受け取ることができます。
ただし、医療費控除の場合は年末調整では対応できないため、個人で確定申告をしなければなりません。医療費が年額10万円を越えた場合は、確定申告をすることで還付金が受け取れます。
個人事業主やフリーランスの源泉徴収
個人事業主やフリーランスにも源泉徴収はあるのをご存じでしょうか?すべての報酬ではなく、源泉徴収の対象となる報酬に限られますが、個人事業主にも源泉徴収はあります。
個人事業主自身が源泉徴収を支払うのではなく、報酬の支払い者が源泉徴収を行わなければなりません。なので報酬を受け取る側の個人事業主側が源泉徴収をするわけではないのです。
源泉徴収が必要となる報酬は以下(一部抜粋)です。
・原稿料や講演料、デザイン料など
・弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
・プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手モデルや外交員などに支払う報酬・料金
・芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
個人事業主やフリーランスの場合、原稿料や講演料などが源泉徴収に関係してきます。
ややこしいのがデザイン料です。国税庁の以下のページをご覧いただくと分かりますが、「原稿料等の報酬」にデザインの報酬が含まれています。
たとえばWebサイトのデザインを請け負った場合、報酬は源泉徴収の対象となりますが、コーディングは対象外となります。Webデザインとコーディングを両方請け負った場合は線引きが難しいですが、コーディングだけであるなら源泉徴収は必要ありません。
契約形態がWebデザインであるかコーディングであるかによって源泉徴収の対象となるかが分かれるので、契約前によく確認しておきましょう。
ちなみに個人事業主やフリーランスには会社員のような「特別徴収」はありません。個人事業主の住民税や健康保険料の支払いは「普通徴収」となるため、市区町村から送られてくる納税通知書で納税します。
個人事業主の源泉徴収の確定申告と還付金について
源泉徴収額は100万円以下の報酬に対して10.21%かかります。報酬の約10%が源泉徴収されているわけですが、経費を差し引いていないため多く払いすぎていることがあります。
収めすぎた税金がある場合、確定申告を計上すれば還付金として戻ってきます。報酬の支払い者から源泉徴収票が送られてきますので、それを確定申告の際に添付してください。
ただし、源泉徴収されていない報酬や収入がある場合、追加納税の可能性があります。経費との兼ね合いがあるのでなんとも言えませんが、源泉徴収されているからといって必ず還付金があるわけではありません。
個人事業主も源泉徴収の仕組みを理解しておこう
個人事業主は自分の報酬が源泉徴収されることがありますし、自分が支払い者になる場合は源泉徴収が必要となるかもしれません。個人事業主も源泉徴収の仕組みを理解しておく必要があります。
源泉徴収票の仕組みは一部ややこしい部分もありますが、基本的な仕組みを押さえれば理解するのは難しくありません。税金を収めすぎていれば還付金があるかもしれないので、確定申告で源泉徴収票を添付するのを忘れないようにしましょう。
おわりに
源泉徴収の仕組みはお分かりいただけたでしょうか?Webデザインとコーディングで源泉徴収の有無に違いがあるのが少しややこしいですが、対象となる報酬は源泉徴収されるものと考えておきましょう。