消費税ってややこしいイメージがありませんか?確かに複雑な部分もありますが、事業主であるなら消費税は避けて通れないのできちんと理解しておかなければなりません。
本記事では、個人事業主が損しないために知っておきたい消費税に関する基礎知識を解説します。ポイントを押さえれば消費税は難しくないので、気構えずにお読みください。
個人事業主も消費税と無関係ではない
「小売業ではないから消費税は関係ない」と思っていませんか?いえいえ、そんなことはありません!小売業以外にも消費税はかかりますし、個人事業主も消費税の納税義務はあります。
しかし、すべての個人事業主に消費税の納税義務があるわけではないので、自分の事業収益が消費税の対象かをしっかり理解しておかなければなりません。
消費税の納税義務の免除されるケース
では、どういった場合に納税義務が免除されるのでしょうか?
国税庁のWebサイトに掲載されている「No.6501 納税義務の免除」を見ると、以下のように記載されています。
消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます
個人事業主の場合、前々年の課税売上高(法人は前々事業年度の課税売上高)が対象となります。つまり、前々年度の売上が1,000万円以下であったならば、消費税を納める必要はありません。
前年ではなく「前々年度」である点、前々年度の売上が「1,000万円以下」である点が重要なポイントとなります。自分が免税事業者であるかどうかは上記2点を基準に判断してください。
ひとつ注意しておくべき点は、前々年度の売上に対して消費税の課税対象かが決まるため、本年度の売上が1,000万円以下であっても前々年度の売上が1,000万円以上であれば納税義務が発生します。
前々年、つまり2年前にさかのぼって課税されるため、うっかり消費税の納税を忘れてしまうかもしれません。本年度が赤字で、しかも消費税のことを失念していたところに納税通知が来ると大変ですので、売上が1,000万円を越えた年があれば納税の準備をしておきましょう。
特定期間に売上高が1,000万円を超えると課税事業者になる
先ほど前々年の課税売上高で免税事業者であるかが判断されると解説しましたが、ひとつ例外があります。それは特定期間に課税売上高で1,000万円を越えた場合です。
この特定期間というのは、「その年の前年の1月1日から6月30日」を指します。この期間内に1,000万円を越えると課税事業者となるので注意しなければなりません。
※法人は事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間
少し分かりづらいので具体例を挙げて説明しましょう。
たとえば、2016年度の売上高が1,000万円以下であった場合、免税事業者になるので2018年は消費税の納税義務は生じません。
しかし、翌2017年の1月1日から6月30日の特定期間中に売上高が1,000万円を越えた場合、2018年は課税事業者になってしまうのです。
「今年(2016年)は1,000万円以下だから2年後に消費税を払わなくて済む」と思っていても、その翌年(2017年)の1月1日から6月30日の間に1,000万円を越えると消費税の納税義務が生じるので注意しなければなりません。
クライアントに消費税分を請求すべき?
免税事業者だからといって、クライアントに消費税を請求してはいけないわけではありません。請求時に外税として消費税を請求することができます。
請求する義務はないので請求しなくても構いませんが、自分が免税事業者である特権を自分に最大限反映させるには、消費税分を請求した方がよいでしょう。免税事業者であるかどうかはクライアントには分からないことですし、そのメリットを享受できる権利があるのは自分なのですから。
ただし、クライアントに消費税を請求するのは少し勇気がいることでもあります。クライアントから免税事業者だから内税にしてほしいと言われると断りづらいですし、消費税を外税で請求していいかは聞きにくいことですよね。
最初の請求で内税にしてしまうと、後から外税にしてほしいとクライアントに頼むのは難しいかもしれません。今は消費税が8%ですが、10%にあるとまた全然違ってきます。
まとめると、自分が免税事業者であってもクライアントに消費税を外税として請求するのは問題ありません。むしろ請求しないと自分が損をしてしまいます。
後から内税を外税に変えてもらうのは心理的に難しいので、消費税が外税にする場合は最初に交渉しておいた方がよいでしょう。
おわりに
個人事業主も消費税に大いに関係があることをお分かりいただけたでしょうか?自分が損をしないためにも、消費税の正しい知識を身につけておきましょう。