ふるさと納税をしているなら、ワンストップ特例制度を利用して確定申告の手間を省略してしまいましょう。簡単な書類で申請するだけで寄付金控除が受けられるので、ふるさと納税をしている方におすすめです。
本記事では、ワンストップ特例制度の概要と申請方法、注意点をまとめました。ややこしい制度ではないですが、いくつか押さえておきたいポイントがあるので、利用する前に確認しておいてくださいね。
ワンストップ特例制度とは?
ワンストップ特例制度は、確定申告をしなくても、「ふるさと納税」の寄附金控除が受けられる仕組みです。通常、ふるさと納税で税額控除を受けるには確定申告が必要ですが、ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告をしなくても控除を受けられます。
ワンストップ特例制度の控除の対象は「住民税」です。還付金が受けられるわけではなく、翌年度の住民税が控除されることで節税の恩恵を受けることができます。
ワンストップ特例制度の申請条件
ワンストップ特例制度は、「1年間で5自治体まで」という制限があるので、それ以上の数のふるさと納税をしている場合は確定申告が必要です。自治体の数でカウントされるので、5自治体以内であれば寄付金控除の対象となります。
たとえば、異なる7つの自治体で7回ふるさと納税をした場合、これはワンストップ特例制度を利用できません。5つの自治体で7回のふるさと納税であれば、利用できます。
ただし、「確定申告をする必要がない人」というのもワンストップ特例制度の申請条件です。基本的に給与所得者で会社が確定申告をしていて、自分で確定申告をする必要がない人が対象となっています。
残念ながら、個人事業主は確定申告が必要なので、ワンストップ特例制度を利用できません。年収2,000万円を超える方もワンストップ特例制度の対象外なので注意してください。
ワンストップ特例制度の申請方法
ワンストップ特例制度を利用するには、ふるさと納税をした自治体に対し、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を送付する必要があります。申請期限はふるさと納税を行った翌年の1月上旬(10日)です。
各自治体は申請書を受け取ると、内容に相違がないかを確認し、申請者の在住する市区町村役場に寄付の事実があったことを報告します。市区町村役場はふるさと納税額に応じて、翌年度の住民税から控除を適用する、というのがワンストップ特例制度で控除を受ける流れです。
確定申告は税務署に申告をしますが、ワンストップ特例制度はふるさと納税をした各自治体に申請をするので、その違いに注意してください。
また、確定申告だと一度の申告でふるさと納税の控除を受けられますが、ワンストップ特例制度では各自治体に申請書を送付する必要があるので、少し手間がかかります。確定申告の書類作成と比べると簡単ではありますが、複数の自治体にふるさと納税を行った場合、最高で5つの自治体に申請書を送らなければなりません。
しかし、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」は記載する項目が少ないですし、ややこしい申請は必要ないので、すぐに書けるでしょう。用紙はインターネットでダウンロードできますし、郵送で送付すればいいので、それほど面倒な作業ではありません。
ただし、1件の寄付につき申請書が1枚必要となりますので、同じ自治体に複数回ふるさと納税をした場合、その回数分だけ申請書が必要です。
上述したようにワンストップ特例制度の申請期限は翌年の1月上旬(10日)ですので、期限に遅れないように申請しておきましょう。確定申告の時期とも違うので、その点にも注意したほうがいいですね。
控除額はワンストップ特例制度も確定申告も変わらない
ワンストップ特例制度と確定申告で申請方法は異なりますが、控除額自体はどちらも変わりません。
ただし、ワンストップ特例制度での控除対象は住民税のみですが、確定申告は所得税も控除対象となるため、節税額が違ってくる場合があります。確定申告ではふるさと納税の控除が適用されてから住宅ローン控除をするので、併用した場合、ワンストップ特例制度で受けられる控除よりも下がってしまうかもしれません。
住宅ローン控除を利用しないのであれば気にしなくても大丈夫ですが、併用するのであればワンストップ特例制度を利用したほうがいいケースもあります。ワンストップ特例制度であれば、住宅ローン控除と併用しても控除の恩恵が減ることはないので安心です。
おわりに
ワンストップ特例制度の申請方法は難しくありませんし、確定申告よりも手間がかからないのでおすすめです。ワンストップ特例制度の申請を忘れて期限が過ぎてしまっても、確定申告をすれば控除できるので心配ありません。ふるさと納税が5自治体以内の方は、ワンストップ特例制度を利用してみてはどうでしょう。