起業・独立開業を考えておられる方は、「開業資金はどれくらい必要なのか?」とまず考えることでしょう。どんなビジネスをするにも資金が必要となるので、開業資金の用意から開業への道が始まると言っても過言ではありません。
本記事では、開業のための資金準備の考え方と開業資金の準備の仕方について解説します。開業を予定されている方は、まず開業資金の準備を進めていきましょう。
開業のための資金準備の考え方
運転資金と予備資金を用意しておく
最初に理解しておいていただきたいのは、開業資金は最初に必要となる費用だけではないということです。物件取得費や取得費などの開業にかかる初期費用はもちろんのこと、当面の間の運転資金とトラブルがあった時のための予備資金を用意しておかなければなりません。
特に運転資金の準備は非常に重要です。開業してすぐに利益を得られるわけではありませんし、売掛金だとすぐに手元に現金が入ってくるわけでもありません。
店舗や事務所の賃借料、光熱費、人件費、通信費、広告宣伝費などなど、事業にはランニングコストがかかります。賃借料の支払いができなくなれば退去せざるを得なくなりますので、しばらく利益が出なくても事業を継続できるように当面の運転資金を用意しておきましょう。
もし資金の準備に余裕がない場合は、自宅開業や無店舗開業ができる事業を選ぶという手もあります。ハウスクリーニングや結婚相談所といったフランチャイズは自宅開業が可能ですので、そうしたビジネスも考えてみてください。
生活資金を用意しておく
運転資金と予備資金に加え、自身の生活資金も開業資金の一部として用意しておく必要があります。生活資金までも開業にあててしまったら、生活ができなくなってしまいビジネスどころではなくなるでしょう。
生活あっての事業ですので、当面の間は貯蓄だけで生活できるだけの資金を用意しておかなければなりません。上述したように開業してすぐに利益を得られるわけではないので、事業で利益が出るまでの期間をしのげるだけの生活資金の用意が必要です。
開業資金の準備の仕方
自己資金を用意する
自己資金は貯蓄や退職金で用意するのが一般的です。
退職金を自己資金に充てる場合、期待しすぎてはいけません。はっきりと金額が分からない場合は少なめに見積もっておいたほうがよいでしょう。
また、失業保険(雇用保険)を開業資金や生活資金に充てようと考えておられる方も多いと思いますが、その場合は注意が必要です。自己都合退職の場合、7日間の待期期間と3ヶ月の給付制限を経た後に失業保険の受給ができるため、退職してすぐにもらえるわけではありません。
また、退職前に開業届を提出している場合、失業状態とみなされず失業保険が受給できないので注意してください。
融資を受ける
金融機関の融資の他に、日本政策金融公庫の融資制度を利用する方法があるのをご存知でしょうか?
たとえば、新企業育成貸付として「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」「再挑戦支援資金
(再チャレンジ支援融資)」といった融資制度があります。
「新規開業資金」は「新たに事業を始める方」が融資の対象となっていて、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)となっています。返済期間は設備資金が20年以内(うち据置期間2年以内)、運転資金が7年以内(うち据置期間2年以内)です。
金融機関から融資を受けるのが難しい場合は、日本政策金融公庫の融資制度の利用を検討してみてください。
補助金・助成金を利用する
「地域創造的起業補助金」「生涯現役起業支援助成金」など、起業に関する補助金・助成金を利用する方法もあります。補助金・助成金は融資や借入と違って返済の必要がないため、開業資金集めに苦戦している方にとっては非常に助かる制度です。
政府や各市区町村が補助金・助成金の希望者を募っていますので、お住まいの地域にそうした制度があるのか探してみてください。
補助金・助成金には予算に限りがあるので、申込みが遅くなると応募できない可能性があります。
たとえば、平成30年度の「地域創造的起業補助金」の募集は平成30年4月27日~平成30年5月22日でした。タイミングを逃さないように、翌年度の募集時期を調べておくとよいでしょう。
※平成30年度の「地域創造的起業補助金」の募集は終了しています。
開業資金は早めに準備し始めよう
開業資金は早めに準備を始めるにこしたことはありません。予定外の費用がかかることもありますし、もしかしたら退職金の額が予定より低い場合もあるので、早めに準備をして開業に必要な資金を確保できるようにしておきましょう。
家族や知人に借入をする方法もありますが、お金のことでトラブルになると関係までこじれてしまう恐れがあるのでおすすめできません。できれば自己資金や融資制度を利用して、家族や知人に借るずに済むようにしましょう。
おわりに
開業資金は計画的に用意することが肝心です。融資制度を申し込んでも断られることもありますので、できるだけ自己資金を多く用意できるようにしておきましょう。